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痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人 「いたみラボ」
2018-11-15

Topic No.9
腰痛に対する手術以外の侵襲的治療法:米国疼痛学会臨床診療ガイドラインから

Nonsurgical interventional therapies for low back pain. A review of the evidence for an American Pain Society Clinical Practice Guideline.
Chou R, et al. Spine 34: 1078-1093, 2009.

要約

腰痛と神経根性疼痛に対する非手術的侵襲治療の有効性や有害性について系統的に検討した。

方法:
局所注射、ボツリヌス毒素注射、prolotherapy、硬膜外ステロイド注射、椎間関節注射、治療的内側枝ブロック、仙腸関節注射、椎間板内ステロイド注射、化学的髄核融解術、ラジオ波脱神経、椎間板内電気熱療法、経皮的椎間板内ラジオ波熱凝固、Coblation髄核形成術、そして脊髄刺激に関する無作為対照試験と系統的レビューをみつけるために2008年8月までのOvid MEDLINEとCochraneデータベースの検索を行った。方法論的検討は、Cochrane Back Review GroupとOxmanの基準を用いて行われた。結果の質的統合は、US Preventive Services Task Forceの方法を用いて行われた。。

結果:
坐骨神経痛または神経根性疼痛を有する椎間板ヘルニアにおいては、化学的髄核融解術は、プラセボ注射よりも中等度に(moderately)に優れている、しかし手術よりは劣っている、という質の高いエビデンス(good evidence)であった。硬膜外ステロイド注射は、短期間は症状の緩和に有効である(長期的には有効でない)というまあまあのエビデンス(fair evidence)であった。脊髄刺激は、持続する神経根症を有するfailed back surgery症候群に対してはいくらか有効であるという中等度のエビデンスがあった、しかし器機に関連する合併症は多い。Prolotherapy、椎間関節注射、椎間板内ステロイド注射、そして経皮的椎間板内ラジオ波熱凝固は有効でない、という質の高い、またはまあまあのエビデンスがあった。その他の侵襲的治療では、信頼できる評価をするには不充分なエビデンスしかなかった。

腰痛に対する非手術的侵襲治療では、無作為プラセボ対照試験で有効であることを示すものはほとんどない。

コメント

神経根性疼痛を伴う腰痛に対しては、有効性を示す治療法がいくらかあるようである。しかし、いわゆる慢性腰痛に対しての侵襲的治療は、有効性が証明されたものがないというのが現状のようだ。今後有効性が証明される侵襲的治療が出てくる可能性もあるが、侵襲的治療というアプローチが慢性腰痛の治療には適さないと考えた方がいいのかもしれない。

ホームページ担当委員:矢吹 省司