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痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人 「いたみラボ」
2019-03-13

Topic No.188
CRPSのリハビリテーションの現状:臨床家を対象とした調査

Current practice in the rehabilitation of complex regional pain syndrome: a survey of practitioners

Miller C, et al., Disabil Rehabil; 2017; Epub ahead of print

要約

背景/目的

複合性局所疼痛症候群(CRPS)の国際診療ガイドラインにおいて,リハビリテーションはcore treatmentとして推奨されている。しかし,最近のCochrane reviewでは,個々のリハビリテーション介入効果について,十分なエビデンスはないと結論付けている。CRPSは稀な疾患であるため,十分なサンプルサイズの確保は困難であり,今後も十分なエビデンスが得られるとは考えにくい。よって,多様かつ個別に設定された”best practice model”を開発し,効果検証を行っていくことが現実的である。本研究の目的は,CRPS患者に対するリハビリテーションの”best practice model”を開発することを最終目的とし,CRPS患者のリハビリテーションに従事するセラピストがどのような実践を行っているかを知るため,以下の点について調査した。

・使用しているCRPS診断基準

・近年のガイドラインに含まれるアプローチの中で何を用いているか

・どのアプローチは効果的でない,もしくは危険であると考えているか

方法

オンライン調査。以下の項目について調査。

fixed-response question: どのようにこの研究を知ったか,職種,経験年数,CRPS診療に携わっている年数,国と診療機関の形態,用いているCRPS診断基準,よく診る身体部位,1月あたりのCRPS患者数,治療期間。

open text question: どの程度の頻度で各治療アプローチを用いているかを急性期,慢性期それぞれについて5段階で評価。さらに,そのアプローチが効果的でないもしくは有害であると感じている場合はその理由を記述する。

結果と考察

132人(理学療法士91人,作業療法士34人,看護師1人,不明5人)が回答した。一人のセラピストが1月あたりに診る症例数は少なく(初診,フォローともに1-2人),患者は長い場合は一年以上に渡って治療を受けている。教育的アプローチ(general pain education/pain neuroscience education)と身体運動(関節可動域運動など)が最も積極的に行われていた。ついで,鏡療法や段階的運動イメージプログラムなどのbrain interventionが多く行われていた。pain exposure therapyの実施については消極的な意見(症状を増悪させる,持続させる)が多くみられた。また,物理療法やマッサージなどの受動的治療の実施頻度は低く,永続化や依存に繋がるとの批判的意見が多かったことは近年のガイドラインの推奨と一致している。今後は”best practice model”についてコンセンサスを得るための研究を行う必要がある。

コメント

海外では概ねガイドラインに沿った介入がなされているようではあるが,調査の性質上,CRPS の診療経験が比較的多い,もしくは興味を持っている人のみが対象となっているため,広く一般的に行われているとは限らないと考えられる。本邦においても,このような実態調査を行うことは,エビデンスの構築のみならず,医療者教育や診療環境の整備をすすめていく上でも意義があるのではないかと思われる。

ホームページ担当委員:壬生彰