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痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人 「いたみラボ」
2019-05-29

Topic No.195
変形性膝関節症患者における身体活動に伴う痛覚感受性の増大と関連要因の検討

Increased sensitivity to physical activity among individuals with knee osteoarthritis: Relation to pain outcome, psychological factors, and responses to quantitative sensory testing.

Wideman TH, Finan PH, et al. Pain 2014; 155: 703-711

要約

背景:慢性腰痛や線維筋痛症における運動誘発性疼痛には身体活動に対する痛覚感受性(Sensitivity to physical activity:SPA)が関与すると報告されているが,変形性膝関節症(膝OA)における報告はない。そこで,膝OA患者のSPAについて調べ,痛覚感受性,身体機能,心理・社会的要因との関連を検討した。

方法:対象は膝OA患者107名とした。測定項目は疼痛症状(WOMAC-Pain),機能障害(WOMAC-Function),破局的思考(PCS),気分(POMS-Depression),睡眠の質(PSQI),圧痛閾値(PPT),圧刺激を用いた痛みの時間的加重(TSP),6分間歩行距離(6MD),SPAとした。SPAは,6分間歩行中の膝の違和感をverbal pain scale(0-100)を用いて歩行前と歩行中1分ごとに計7回測定し,最大値から歩行前の値を減じた値を測定値とした。

結果:107名中91人(85.05%)でSPAが増大した。相関はSPAが高いほどPCS,WOMAC-Pain・Function,TSPが高値,6MDが低値であった。また,重回帰分析の結果,SPAの予測因子としてPCSとTSP, WOMAC-Pain・Functionの予測因子としてSPA とPCSが抽出された。さらに,媒介分析を用いてこれらの関係性を検討した結果,SPAはPCSとWOMAC-Pain,PCSとWOMAC-Functionの媒介因子であった。

考察:TSPは膝OAの中枢感作を反映する指標である。今回,SPAはTSと関連していたことから,膝OAの運動誘発性疼痛には中枢神経系の感作の程度が関与する可能性が示唆された。また,破局的思考がSPAを介して疼痛や機能障害と関連していたことからも,SPAは臨床上の疼痛評価として有用であり,運動負荷の調整時などに考慮する必要がある。

コメント:膝OA患者においても運動による痛覚過敏(Exercise-induced hyperalgesia)に注意する必要がある。また,TSPを模した形で運動時痛をモニタリングすることで,神経感作の程度が評価できる可能性がある。今後は,薬物療法や運動療法介入による縦断データについても検討していく必要であると考える。

ホームページ担当委員:服部貴文