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痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人 「いたみラボ」
2018-12-13

Topic No.180
周術期の急性疼痛マネジメントについて

Management of acute perioperative pain
Edward R Mariano M.D.

 

要約

はじめに:
周術期の疼痛管理の目的は、苦痛を和らげ、手術後の早期離床・早期リハビリテーションを達成し、入院期間を短縮し、患者満足度を達成することである。 疼痛管理レジメンは、医学的、心理的および身体的状態(年齢・恐怖や不安のレベル・外科手術侵襲の大きさ・個人の性格など)を考慮に入れなければならない。 周術期の疼痛管理のための最適な戦略は、オピオイドの必要性を最小限に抑えるためのマルチモーダル治療からなる。オピオイドの過剰投与は世界的に重要なレベルに達しており、手術は多くの患者において長期間のオピオイド使用の契機となる可能性がある。

方法/デザイン:
Gradeについて
Recommendation grades
1. Strong recommendation: Benefits clearly outweigh the risks and burdens (or vice versa) for most, if not all, patients
2. Weak recommendation: Benefits and risks closely balanced and/or uncertain

Evidence grades
A. High-quality evidence: Consistent evidence from randomized trials, or overwhelming evidence of some other form
B. Moderate-quality evidence: Evidence from randomized trials with important limitations, or very strong evidence of some other form
C. Low-quality evidence: Evidence from observational studies, unsystematic clinical observations, or from randomized trials with serious flaws

結果:
●疼痛管理のレジメンは、患者の年齢、医学的および身体的状態、恐怖/不安のレベル、個人的好み、外科的処置のタイプおよび応答を考慮に入れて、個々の患者のニーズに合わせて調整する必要がある。周術期の疼痛管理のための最適な戦略は、”オピオイドの必要性を最小限に抑えるための多様な治療”である。

●全身麻酔(Grade 2B)の誘導前に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、ガバペンチンなどの局所鎮痛薬や薬剤による“予防的鎮痛“へのマルチモーダルアプローチを提案する。(Tables: Patient-controlled analgesia regimens for opioid-naïve patients & Orally available nonopioid analgesic and NSAIDs)

●外来手術後、短時間作用静脈内(IV)オピオイド、続いて経口オピオイドまたはアセトアミノフェン/オピオイドの組み合わせ、または退院時のNSAIDsの回復室における急性疼痛の治療を推奨する。 (Tables: Parenteral and oral opioid analgesics for acute periop pain・Sedative/analgesic dosage regimens・Orally available nonopioid analgesic and NSAIDs)

●低侵襲性の腹腔内手術の後、適切な場合には、局所麻酔創傷浸潤、腹横筋膜面ブロック(TAPブロック)、傍脊柱ブロックなどの局所鎮痛処置を提案する。術後の絶食が必要な場合は、さらに鎮痛薬を投与するため、経静脈投与の患者管理鎮痛(PCA)または看護援助オピオイドボーラスを推奨する。禁忌でない場合はNSAIDとアセトアミノフェンを追加することを推奨する(Grade 2C)。経口薬は、許容範囲内で処方する。(Tables: Patient-controlled analgesia regimens for opioid-naïve patients・Parenteral and oral opioid analgesics for acute periop pain・Nonopioid analgesic and NSAIDs table: IV agents・Orally available nonopioid analgesic and NSAIDs)

●大手術である開腹腹部手術や腹腔内手術、またオピオイド依存症の患者には、連続硬膜外鎮痛薬または単発硬膜外麻酔薬または脊髄オピオイド(Grade 2C)のいずれかを用いた全身麻酔に加えて、予防的鎮痛としての神経刺激的アプローチは、術後鎮痛として効果的である。(Tables: Patient-controlled analgesia regimens for opioid-naïve patients & Parenteral and oral opioid analgesics for acute periop pain)

●Neuraxial analgesia(脊髄・硬膜外ブロック)では、硬膜外(モルヒネ3mgまで)または髄腔内(モルヒネ0.2mgまで)の経路でモルヒネを投与し、18〜24時間まで術後疼痛緩和を行うことである。これは、術後呼吸抑制のリスクを増加させることなくNSAIDsを補充することができる。さらなる鎮痛が必要な場合、看護師が投与したボーラスまたはPCAによる追加の経静脈投与オピオイドを適切なモニタリングと共に使用することができる。(Tables: Patient-controlled analgesia regimens for opioid-naïve patients・Parenteral and oral opioid analgesics for acute periop pain・Nonopioid analgesic and NSAIDs table: IV agents)

●疼痛緩和が24時間以上必要な患者のために、術前に腰椎または低位胸椎硬膜外カテーテルを装着し、術後の患者管理硬膜外鎮痛(PCEA)に利用することを推奨する(Grade 2B)。 neuraxialオピオイドまたは持続的な硬膜外注入を受けた患者は、有効性および副作用についてモニタリングされるべきである。 (Tables: Parenteral and oral opioid analgesics for acute periop pain & Nonopioid analgesic and NSAIDs table: IV agents)

コメント

このレビューは、周術期のオピオイド使用の適正量および適正期間を提示するとともに、オピオイド以外の鎮痛法について適応およびその実際を述べている。著者は、医療関係者のオピオイドの適正使用への思いをレビューに込めている。
周術期におけるオピオイドおよび非オピオイド薬の使用方法について参考にされると幸いである。

ホームページ担当委員:辻 成佳