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痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人 「いたみラボ」
2018-12-14

Topic No.181
仙骨麻酔後の術後痛へのデキサメタゾン経静脈投与による効果

Effect of an Intravenous Dexamethasone Added to Caudal Local Anesthetics to Improve Postoperative Pain: A Systematic Review and Meta-analysis With Trial Sequential Analysis.
Kawakami H, et al. Anesth Analg. 2017;125(6):2072-2080

要約

背景:
小児外科手術の術後痛管理に仙骨麻酔は用いられるが、その作用時間は十分でないことがしばしばある。ある種の外科手術では術後痛管理にステロイドの経静脈投与が有効な場合がある。今回のTrial Sequential Analysisを用いたメタ解析では、仙骨麻酔を受けた患者におけるステロイドの鎮痛効果について検討した。

方法:
仙骨麻酔で小児外科手術を受けた患者を対象にステロイド(デキサメタゾン)の経静脈投与の効果を検証した無作為化比較試験の結果を取り込み検討した。1次評価項目は鎮痛効果持続時間と追加の鎮痛薬を必要とした人数とした。2次評価項目は術後12時間までのペインスコアと副作用(鎮静、尿閉、麻痺、創部合併症、血糖値、運動神経ブロックの遷延)とした。

結果:
・6論文をメタ解析に用いた。
・鎮痛効果持続時間はコントロール群に対してデキサメタゾン群で延長していた(mean difference 244分、97.5% confidence interval, 188-300)。
・追加の鎮痛薬を必要とした人数は両群間で差を認めなかった(relative risk, 0.53; 97.5% confidence interval, 0.09-3.30)。
・ペインスコアについては、術後限られたタイミングでは両群間で差を認めたものもあったが、差が無かったとする報告もあった。
・副作用については両群間で差を認めなかった。

考察:
今回解析に用いたいずれの論文もバイアスリスクが高いことから、本解析のエビデンスの質は低いものとなったが、デキサメタゾンによる鎮痛効果持続時間の延長は見られており、今後のエビデンスレベルの高い研究が期待される。

コメント

昨今様々な術後鎮痛法が行われている中で、本論文のようにステロイドの鎮痛補助作用に関した文献のメタ解析から問題点も湧き上がってきている。ステロイドの作用機序の解明は特に期待も大きいし、今後の術後鎮痛法への影響も大だと思われる。

ホームページ担当委員:難波 力