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痛みの医療への社会的責任をはたすための認定特定非営利活動法人 「いたみラボ」

いたみよろず相談

慢性的な痛みに陥ると、気分が落ち込み、その「痛み」のために活動や仕事ができなくなる場合があることが知られていますが、本邦ではその問題の実態や解決策が明らかにされていません。
そこで本法人では、「痛みと社会の問題」を解決するために電話による「痛み相談窓口」を行っております。
看護婦さん
厚生労働省「からだの痛み相談支援事業」
<電話相談窓口〜相談料無料〜>
TEL:
0561-57-3000

(看護師が対応いたします)
月〜金曜日 9:00〜17:00(※12:30〜13:30は職員の休憩時間となります。)

※土曜、日曜、祝日及び夏季、年末年始はお休みさせていただきます。
※電話番号をおかけ間違いのないよう、よくお確かめの上おかけください。
※お電話の通話料はご本人様のご負担になりますのでご了承ください。

いたみについて

人は古代より「痛み」に侵され悩まされてきたという記述が残っています。
人は「痛み」を取り除くために様々な努力を行ってきました。
現代の世の中においても、「痛み」に関する研究はますます盛んになり、様々なことが解明されていきています。
このページではまず、痛みのしくみについて、わかりやすく説明し、次に、痛みをやわらげるにはどのようにしたらよいか?また、みなさんからよくご質問されることについてまとめたQ&Aを掲載いたしました。
痛みのしくみを理解していただき、痛みを取り除くためのヒントとしていただければ幸いです。


電話相談症例

皆さん、「長引く身体の痛み(慢性痛)」で苦しんでいらっしゃる方が、国内にどのくらいいらっしゃるかご存知ですか?厚生労働省慢性の痛みに対する研究班の調査によると、少なくとも人口の約15%の方がその痛みに直面し、中にはありとあらゆる病院で診てもらったけれど「原因不明」や「良くならない」というケースが大変多いことも事実です。

「認定NPO法人 いたみ医学研究情報センター」では、平成23年から「からだの痛み電話相談」という窓口を設け、医師や看護師によりこれまでにたくさんの方のご相談を受けてきました。私たちは相談者さまのお声に耳を傾け、共に考えながらアドバイスもさせていただいてきました。そこには一見お元気そうに見える方でも、痛みに加えて他者には話せない心の苦しみを抱え精神的に孤立している方が大変多く、その背景に目には見えない様々な問題があることがわかりました。特に多かったのが、「こんなに辛い思いをしているのは、自分だけだと思っていた」というご意見です。

この事例集はやりとりの中のごく一部ではありますが、患者さまはもちろんそのご家族やご友人、そして痛みで苦しんでいる方々に日々携わっている医療従事者の皆さまにも是非お読みいただき、痛みを持つ方がどんなことで悩み、苦しみ、何を思っているのかを知るとともに、どうすればいいのかを考え少しでも前進していただけるきっかけになれば嬉しく思います。

※これからご紹介する内容はすべて相談者さまのご了解を得て掲載しております。私どものお願いにご理解をいただき、「少しでも痛みを持つ方の力になれれば」と掲載許可をくださった相談者の皆様に心より感謝申し上げます。

原因不明の全身痛(50代 女性)
【主訴】
全身が痛い。特に首、肩、腰。
勤務がきつく、夜勤も月に10回近くこなしている。負担が大きく異常な痛みがある。整形外科で検査するが問題なく、婦人科で血液検査をして閉経が近いのでと漢方薬を処方されて内服中。痛みに対してはホルモン療法を行ったり、仮面うつではないかということでパキシルも処方された(自覚がないので内服せず)。しかし痛みは改善せず、あちこちに広がるので婦人科での治療は断念。ヨガなどの民間療法を始めたがこれも効果なし。 入眠中も焼けるような痛みがあって覚醒する。運動は週に1回バトミントンをしている。
【質問】
自分でも色々情報収集をしているが脳内物質(セロトニン)が原因かとも思う。それとも性格なのか?仕事がハードで辞めたいが生活のために辞められない。同僚でも同じような症状で困っている人が何人もいる。痛みの原因が知りたい。
【アドバイス】
バトミントンは是非続けて、それにできれば毎日のウォーキングを加えてほしいと思います。万歩計を買ってペーシングしながら頑張ってください(歩き方も指導)。何よりも継続することに意味があるのでそこはあなたの努力次第です。また身体の痛みもストレスなどの心の問題も脳を通じて一つのサイクルになっているので切ってもきれない関係にあります。それを運動によってよいサイクルにもっていけるようにしてください。そこにはあなた様のおっしゃる脳内物質もかかわってきます。
【相談者さまの言葉】
実は子供が学校を中退し(この頃から無気力症候群みたいになった)新たに学校へ通っていましたが、結局何もしたくない、死にたいと言い出したんです。今はかろうじてアルバイトには行っていますが、そのことで子供が心療内科に通院するようになり、それに付き添っているうちに自分も診てもらうようになったんです。家庭の問題(子供がまだ小さい頃に離婚)や、他の子供にも問題行動があります。自分も幼いころに親を亡くし、誰にも相談できずにいました。自分なりに分析もして頑張っていますが、無意識のところでこうなっているのかもしれないので、電話をして力を借りたいと思ったんです。電話をしてとても楽になりました。よかったです。ありがとうございます。
数年に及ぶ上半身の痛み(30代 女性)
【主訴】
胸の下~背中にかけてビリビリと痛い。
数年前から急に上記症状あり。整形外科や内科で検査をしたが異常なし。鎮痛剤を処方されたが飲んでも効果はなかった。夜間寝る時に痛みが強く、布団に触れるのが辛い。また咳やくしゃみをした時にも痛みが強い。増減はあるが1日中違和感がある状態。
【質問】
どこの科へ行けばいいのか?正直、半日も待たされて、その結果どこも悪くない(何もない)では困る。
【アドバイス】
まず、慢性痛には身体のどこを検査してもこれといった原因が見つからないことがあるということを理解してください。また検査をしてどこにも異常がないという方は、痛みがあっても可能な範囲で運動習慣をつけることと、痛みに対する考え方を変えることが必要になってきます。身体も心も脳が関与していて、これらは切っても切れない関係性です。「考え方を変えたい」と思っているだけでなくそれとともに身体を動かしていくことが大切です。また新しく病院を探すことも選択肢の一つかもしれませんが、ご質問にあるようなお考えがおありでしたらまずはこの方法をやってみてもいいかもしれません。
【相談者さまの言葉】
よくわかりました。確かに仕事でストレスがあると痛みが悪化します。でも好きなことをしていると忘れている。そういうことなんですね。医師にもそういう話をしてほしかったです。よく理解できました。これからは前向きに痛みと上手に付き合いながら生活をしてみます。話を聴いて目が覚めました。電話してよかったです。
頚椎が原因だと言われた腕の痛み(70代 女性)
【主訴】
両腕が痛い。
数年前に上記症状出現し、複数の整形外科を受診。痛みは頚椎からきていると言われ、1年ほど牽引や低周波治療など受けるが効果なし。1日中痛いわけではないが、明け方にズキズキして腕がだるく、じっとしていてもジンジンする。運動としては、週に何回か社交ダンスをしている。
【質問】
武田鉄矢さんが出ているCMをよく見る。今私が飲んでいるものと同じなのか?
また、この痛みとはずっと付き合っていかないといけないのか?
【アドバイス】
慢性痛についてアドバイスさせていただいていることに認知と運動があって、前者はあなた様がおっしゃる通り痛みと上手に付き合いながら日常生活を送っていくという考え方です。後者はそれと同時に習慣づけてほしいもので、1日5分でいいので外に出てウォーキングをしてください。いずれも脳が関係していて、考えるだけでもいけないので両輪でいいサイクルを作っていくということです。実際に社交ダンスをしたり、ご友人と食事をしている時は痛みを忘れているのを実感されているのでご理解いただけるかと思います。
運動は単なる体力づくりや気分転換だけではなく、継続することで「努力すればこれだけのことができている」という自信に繋がってきます。 以上の結果、痛み自体は変わらなくても、痛みの感じ方が変わることで結果的に楽になってくる可能性があるということになります。また慢性痛の方は思考のクセに白か黒か、ゼロか100かという極端な考え方をすることが多い傾向にありますが、ダメな日やできない日があっても当然ですので、その時に諦めたり過度に落ち込んでご自身を責めたりしないようにしてください。きっと大丈夫です。最後に申し訳ございませんが、そのCMについては特定の薬剤についてのCMではありませんのでここではお答えしかねます。
【相談者さまの言葉】
本当にご丁寧にありがとうございます。最初はどうすれば治るのかだけを知りたかったけれど、話を聴いてそうじゃないことがわかりました。私は外も歩けるのに怠けていたんです。早速運動を始めたいと思います。できない日があってもいいということもわかったし納得しました。あなたはこんなお仕事をして本当に大変ですね。大変さがよくわかりました。でも電話をしてよかったです。ありがとうございます。
椅子に座るとお尻が痛い(30代 男性)
【主訴】
歯、舌が痛い。
何十年も前から舌の痛みはあったがこんなもんだと思って生活してきた。数年前に歯科で歯石除去をしたあとから歯の先から痛くなり現在に至る。酷い時は口の中全体が痛い。様々な病院に行ったが異常ないと言われ、現在は○○医大の歯科口腔外科で抗うつ剤などを飲んで治療中。
【質問】
具体的な治療法が知りたかった。同じような症状の人はいるのか?
トリガーポイント注射などはどうか?骨盤の歪みがあったらお尻が痛くなるのか?
【アドバイス】
痛みも不快な情動も脳で感じています。また痛みにはどれだけ調べてもその原因が見つからないものもあるのでそれを理解することも大事です。同じように椅子に座るとお尻が痛いという方はいらっしゃいますが、その程度は本当に様々です。今、日常生活には支障がなく四六時中痛いわけでなければ、痛みにとらわれないように認知を変えていくことが大事だと思います。ただ、いきなり180度ものの考え方を変えるのは困難ですから徐々に小さな積み重ねをしていってください。運動はもうすでに習慣化しているとのことですのでそれもやめないことです。また、痛みを取る、ゼロにする、ということを目標にしているとそれが達成できない限りあなた様の脳は結局痛みにとらわれている状況ですので、「痛みがあってもこれだけのことができている」という考え方をしていってください。
梅干しを見たら自然と唾液が出るように、まだ座ってもいないのに椅子を見ただけでお尻が痛くなったりする方もいます。それはまさに脳が関係しているということです。慢性痛は切り傷の痛みが数日で治るものとは性質が異なりますから、劇的に効く薬や治療法もないのが現状です。
【相談者さまの言葉】
なるほど。脳が関係しているのはテレビでもよくやっていて知っていたがよくわからなかった。でもだいたいわかりました。気長にやれということですね。ありがとうございました。
歯の治療後から歯と舌が痛くなった(60代 女性)
【主訴】
お尻が痛い。
数か月前から上記症状あり。座ると痛みが出る。しびれはない。整形外科でMRIやレントゲン検査を受けたが異常なし。その後鍼治療も受けたが効果がなかったので通院をやめた。今は民間の骨盤矯正に行っている。またリリカやトラムセットなども内服したが効果はなかった。運動は以前からしている。
【質問】
治療してもすぐに良くならない。このままの治療でいいのか?
また、自分と同じような痛みの患者さんがいるのか?その人はどうやって良くなったのか?
【アドバイス】
慢性痛は、包丁で指を切ったあとが数日後によくなっているような経過を辿らないことが多いです。そして、身体中のどこを調べても悪いところが見つからないのに痛みが起きることがありますのでそこをまず理解してください。
今の治療法としては、実際に抗うつ剤に効果があるケースもございますので特に問題はないと思います。また、同じような症状でお困りの方はいらっしゃいますが、こうすれば劇的によくなったということは電話相談では聞いておりませんのでわからないのが正直なところです。ただし、すでに実践されているように痛みと上手に付き合いながら生活をしていく考え方は不可欠です。さらに、痛みを取り去ることや原因を突き止めることをゴールにしているといつまでたっても脳が痛みにとらわれている状態から抜け出せません。身体の痛みも心の痛みもあなた様の脳が感じていることを知って、これからも生活していってくださると結果的にあなた様ためになると思います。
【相談者さまの言葉】
なるほど、よくわかりました。話をしてもらって心強く思います。趣味の俳句も楽しんでいますし、なるだけ楽しく生きていきたいと思います。ありがとう。
老化現象だと言われたひざの痛み(60代 女性)
【主訴】
両ひざが痛い。
整形外科で老化現象だと言われ、鎮痛剤とシップをもらって運動をするように言われた。一番困っているのは座った体制から立ち上がる時の動作時。あとは我慢できる範囲。運動は、毎日ストレッチと、ウォーキング(30~40分買い物ついでにゆっくり)をしている。
【質問】
ストレッチやウォーキングをして痛みが増したりしないのか?
このまま続けてもいいのか?歩数も増やしたほうがいいのか?
【アドバイス】
基本的には医師の指示に従っていただかないといけませんが、お話を聴いている限りでは運動をしてもらって大丈夫だと思います。ストレッチは勿論、筋トレもひざだけでなく腰の筋肉もつけるような運動を加えるといいです。ウォーキングについては極端に長い時間を歩くのではなく、短くても毎日コツコツ継続して行うほうがいいですので、今のまま無理のない範囲で続けてください。そしてそれらを担当医に報告しておくと安心だと思います。慢性痛は痛いからと言って身体を動かさないでいると益々痛みが悪化する可能性もありますので、痛みがあってもできることをやめないで続けていくことが大事です。
【相談者さまの言葉】
よくわかりました。私も過去に一度、痛いし雨も降っているからと何もしないで家でじっとしていたことがあって、翌日身体を動かしたらそれまで以上に痛みが強かった経験があるので、やっぱり動かしてないといけないなと思ったんです。慢性痛は老化のせいもあるのでしょうがないんですね。ストレッチなどの運動は頑張って続けます。これまで不安でしたが、あなたの話を聴いて安心したし、希望が出てきました。自信もついたので嬉しいです。頑張ります。
全身が痛くて不安でしょうがない(70代 女性)
【主訴】
全身が痛い。
最初は首が痛くなり、それから痛みが背中全体に広がり、今は腰やお腹、腕まで痛い。薬を処方されたが全くよくならない。先生にはどこも悪くないと言われており、精神的にはうつ状態になっている。他の人を見るとうらやましい。入浴をしたら翌日の午前中まで痛みはなくなっているが、痛くなるともう動けなくなる。鈍痛と言うかなんというか、とにかく痛い。毎日30分かけて買い物に行ってはいるが、今後動けなくなってしまうのではないか?何が原因なのか、このまま良くならないのか不安でしょうがない。線維筋痛症なのではないか?
【質問】
治る方法が知りたい。私は繊維筋痛症ではないのか?
【アドバイス】
慢性疼痛は原因探しをしないことが大事だと言われています。ある程度検査をしてどこにも悪いところがないと言われているのに、なぜ痛いのかとその原因探しにずっとこだわっていると、脳が痛みをいつも感じていることになっていつまでも痛い状況が続くのです。
また、痛みにとらわれていると不安な状態が強調され痛みがさらに増します。このような仕組みを断ち切る事が大切です。その方法の一つとしては、痛みに対する考え方を変えることが大事で、「痛みがあるけれど歩いて買い物に行けている」「痛みがあるけれど家事ができているなど」前向きな考え方をすることが大切だと言われています。加えて運動することも大切で、運動によって痛みを抑える神経の働きが活発になると言われています。(相談者さま:そうですか。ラジオ体操もいいですか?)
はい、毎日30分のウォーキングをこれからも続け、ラジオ体操も是非加えてみてください。ただし、無理のない範囲で行ってください。
【相談者さまの言葉】
他人と比べず、前向きに考えることですね。わかりました、ありがとうございました。
外反母趾の術後も足が痛い(30代 女性)
【主訴】
外反母趾で足の指が痛い。
以前から外反母趾があり、ある整形外科を受診したが、そこの医師との折り合いがうまくいかなかったため、別の病院の整形外科を受診した。そこでレントゲン検査の結果、足に骨の棘があるのでそれも一緒に手術したほうがいいと薦められ、手術を受けた。しかし術後も痛みは改善せず、足の指は曲がり、歩き方も身体がだんだん傾くようになっておかしくなってきた。これまで何度か靴も作ったがどれも効果なし。最近は足の裏も痛いと言っている。
【質問】
○○医大のペインクリニック科に行ったほうがいいか、それとも別の病院に行ったほうがいいか?
とにかくこの痛みさえとれればいい。
【アドバイス】
結論から申しますと、あちこち行くよりは○○医大に行って診察を受けるといいと思います。
その前に少し知っておいてほしいのが、慢性痛の治療についてです。お子様の場合は外反母趾の術後で器質的(身体)な問題が原因となって痛みを起こしているかもしれませんが、慢性痛は器質的な問題以外にも、心因的な要素が混ざって痛みを長引かせているケースも多いです(相談者さま:確かに娘は痛みでうつ的になったこともあります)。身体の痛みも心の痛みも脳で感じているので、これからは切っても切れません。痛い→憂鬱→脳で感じる→心(落ち込む)→身体(益々痛い)という負のサイクルがあって、厄介なことに「この痛みさえとれれば」「この痛みをゼロにしたい」と考えていると脳が益々痛みにとらわれてしまい、いつも痛みのことばかり考えてしまうようになります。そうすると、それが身体に伝わって益々痛みがよくならない・・・こういうケースもありますので一つの知識として、「痛みがあってもそれと上手に付き合いながら生活を送っていこう」という考え方が結果的にお子様を楽にさせる可能性もあるということを覚えておいてください。
【相談者さまの言葉】
なるほど、よくわかります…。私が心配しすぎて子供に構いすぎるのもよくないですね。気を付けます(笑)。確かに一人の時はもっとしっかり歩いているみたいですし…。電話してよかったです、気持ちが楽になりました。ありがとうございました。
足の指の感覚がおかしい(60代 男性)
【主訴】
両足の指先の感覚が鈍い、長時間歩けない。
10年くらい前に腰痛と両足の指先のしびれがひどくなり、整形外科に行ってMRIをとったが原因がわからなかった。内服、接骨院、カイロプラクテックなどで数年後完全に症状は消えた。しかしその後自宅で転倒し、背中をソファーにぶつけて腰椎圧迫骨折。以前と全く同じ症状が出た。数か月でしびれは消えたが、足の指先の感覚が鈍いという症状は今も続いている。神経内科や内科でも検査をしたが、コレステロール値が少し高いだけで糖尿病や血管の病気はないと言われている。趣味の歌を歌っている時は痛みを感じない。
運動としては、毎日15分ほどウォーキングをしている。
【質問】
症状はあるが、自分の生活を充実させたい。
【アドバイス】
「感覚が鈍い」と「長時間歩けない」という症状のため、糖尿病と閉塞性動脈硬化症を視野に入れて質問(検査値、足の温度差、脈のふれ方、皮膚の色など)をしたが問題はないようだった。
(相談者さま:病院に行ってもただどこも悪くないよと言われるだけでさっきのように理由づけをしながら色々と訊いてくれるとこちらも納得できる。)
歌を歌っている時は症状の事を考えないと思いますから、脳が解放されていたんですね。つまり症状の事を考えない時間を増やしたり、こだわらないことです。マイナス思考をやめてプラス思考に転じていくことです。
(相談者さま:私も心理学の事を学んだことがありますからおっしゃることはよくわかります。実践していこうと思います。)あとは運動療法です。すでにウォーキングをされているので、それを是非続けてください。姿勢を正し、漫然とではなく記録をつけて評価できる形にすることも大事です。運動はそれに集中することによって、痛みや症状を和らげる物質が出ると言われています。
【相談者さまの言葉】
脳内物質などについてもまったく知りませんでした。そういう事を知って歩くと張り合いが出ます。ありがとうございます。頑張ります。今日は恐る恐る電話しましたが良かったです。
帯状疱疹後の激しい顔面痛(60代 女性)
【主訴】
顔面(眼頭、眉の上、額)が痛い。
10年以上前に帯状疱疹で治療した。数年前に顔面の激しい痛みが出て内科を受診、帯状疱疹後の神経痛と言われ、複数の内服薬を処方されたが全く効果がなかった。着替える時に洋服が触るととても痛いし、物を噛むことができず食事が摂れない。歯磨きや顔を洗うことなどもできない。ペインクリニック科を受診したら、三叉神経痛だからと手術を勧められ脳外科にも行ったがまだ手術はしていない。もう何が何だかわからない。とにかく痛みがひどく死にたい、気分の落ち込みもひどい。鍼や整体も受けたが効果はいまいち。昨年は漢方薬も試してみたが効果がなかった。
今はさらに痛みがひどくなり火傷のようなビリビリした激しい痛みが襲ってくるようになったので、近くのペインクリニック科を受診し、帯状疱疹の薬とリリカを処方された。でもリリカを飲んだら余計に痛みがひどくなったのでもうやめてもいいのか?痛み以外にも精神的にストレスを感じている。
【質問】
どうしたらいいのか?大きな病院に行ったほうがいいか?
家族が○○医大の関係者を知っているから紹介してもらおうかとも思っている。
【アドバイス】
慢性的な痛みが再燃しているように感じます。担当医の先生に紹介状を書いてもらって、まずは通いやすい○○病院がいいのではないかと思います。
痛みと共存する方法として、プラス思考が大切であることと(不安、ストレス、こだわり、マイナス思考はより痛みを強く感じます)、痛みがあっても運動することが大切です。まずはラジオ体操でもいいです。筋肉は動かさないとどんどん固くなり益々痛みがひどくなります。また、できれば筋肉を意識しながらのウォーキングをしてください。
【相談者さまの言葉】
今日はありがとうございました。さっきは急に痛みが襲ってきたものですから…。こんなに話を聴いてもらってスッキリしました。今行っている病院の先生もうるさそうに面倒くさそうにするからあまり話せなかったんです。プラスに物事を考えるようにすること、運動も頑張ります。

相談事業の概要

本年度の相談事業としては、主に電話による痛み相談事業を行った。その結果、令和元年度の本事業期間令和元年4月〜令和2年3月末において、のべ667件の痛みに関する相談が寄せられた。H24年度からの相談件数は以下の通りとなった。
※電話相談実施日は、毎週月~金曜日 9:00〜17:00

年度 看護師相談件数 医師相談件数 合計
2012(H24)年度 311 76 387
2013(H25)年度 503 242 745
2014(H26)年度 252 173 425
2015(H27)年度 272 115 387
2016(H28)年度 459 459
2017(H29)年度 570 570
2018(H30)年度 797 797
2019(R1)年度 667 667

※2015年度・2016年度・2017年度・2018年度・2019年度は追跡調査例も含む

■相談者のプロフィール(性別・年齢)
 2019年度の電話相談件数は667件(総数4437件)で70%以上は女性であった。平均年60歳以上であった。初回の相談者数は333件(72%)、複数回相談者数は143件(28%)であった。一件当たりの平均相談時間において初回相談者では27.6分(2018年度24.9分)、複数回相談者の平均相談時間は30.48分であり、何れも前年度における平均相談時間より2分以上長くなっている。
相談内容では、『どこに受診しても検査では異常がないと言われているが痛みがある。何か原因があるはず、何処に受診したら良いか』、或いは『受診しても治してもらえない』、『病気そのものは治療できたが、痛みだけが残っている。どうしたら良いか?長年痛みが続いており、この先が不安、痛みで落ち込んでいる』、『痛みを相談する人がいない、この辛い気持ちを聴いて欲しい』といった内容であった。痛みの部位については、これまで報告と同様、腰 下肢、頭が最も多かった。痛みによる苦痛の背景には様々な要因があり、なかでも誰にも相談できない、聞いてくれる人がいないなど社会とのつながりが薄く、孤独感を感じている場合が多い。更に、痛みによる活動として、『自宅に閉じこもってしまう、外出できない』、『痛みの事が解ってもらえない、家族もうんざりしている』、『出勤が難しい、退職した』、『今までやっていたことが出来なくなっている』等、これまでの活動が思うようにできなくなっていることへの喪失感、無念さから、自分の生活の質が維持できていない辛さに関する相談が多い。また、事例によってはQOLを上げたいという相談も見られている。長く続いている痛みによって、fear-avoidanceモデルによって示されている痛みの破局的思考である『こんな辛い思いをしているのは自分だけ』、『一生治らない、人生が終わった感じ』、『これから先の生活が不安、自殺まで考えてしまう』そのような思考の結果、外出が出来ない、家事ができない、好きなことが出来なくなったという様相であり回避行動として、痛くなるから動かないと言った悪循環の中で苦しんでいる実情が明確に表現されている。

■電話相談事業の効果検証について

電話相談後同意のあった事例に対して、相談後3ヶ月から4ヶ月をめどに追跡調査を行っている。2019年度において149件の追跡調査を行った。中でも『痛みの変化』については、『良くなった、凄く良くなった』のは79名(53%)に見られ、『生活活動の変化』においては『良くなった、凄く良くなった』のは85名(57%)見られた。同時に『電話相談をして役に立ったこと』については、『痛みは少し良くなった、完全になくすことは難しい。でも電話をして良かったことは、こうして相談できる窓口があることで安心できる』、『話をゆっくり聞いて頂けたこと』、『痛みを解ってくれる人がいるという事』、『押し付けるのではなく、柔らかく方向性を教えて頂いた』などの意見が多くあり、話を聞くことによって、痛みのある方に寄り添い、自分自身で痛みへの取り組みをサポートできているのではないかと捉えている。
認知行動理論にストレスへの対応、ストレスコーピングの在り方が大きいと言われている。周囲に存在する問題に対して、自分自身の努力、或いは周囲の協力により解決することが自分の力では困難、解決の方法がないと言った場合には感情を出して辛い気持、不満、怒りを聞いてもらうことで自分自身のストレスコーピングを強化できるような支援が重要である。そのために、相談者が慢性疼痛の知識を得たうえで、痛みや抱えている問題に対しての見方や発想を変えて、新しい適応の方法を相談員と共に見つけ、気づくことが電話相談の必要性ではないかと考える。

■当NPO相談へのアクセス解析について
ホームページ解析ソフトによる、当NPOへの1か月あたりのアクセス件数推移についてグラフで示します(グラフをクリックすると拡大されます)。

■電話相談効果検証に関するお願い
NPO法人いたみ医学研究情報センターでは、2012年公表された「今後の慢性の痛み対策についての提言」に基づき、全国民の皆様を対象に痛みの電話相談を行っています。これまで多くの慢性痛患者さんからお電話をいただいておりますが、このたび、本電話相談の効果を検証する必要があると考えました。
そこでお電話いただいた方の中で、その経過について聴取可能である症例については、初回相談時から3カ月以降、相談者様の許可のもとに追跡調査を行い効果の検証を行いたいと思います。なお追跡調査の方法は以下の手順で行います。

①お電話の際、相談者本人から追跡調査の可否について了解を得ます。更に、NPO法人いたみ医学研究情報センターのホームページにあるメールアドレス(npo-itamicenter@pain-medres.info)宛に、症例使用について同意をする事を記載したメールを送っていただきます。
②個々の症例について、個人情報を完全に不明とした状態で学術研究などの資料として用いることを説明させていただきます。
③許可が得られた相談者本人から、追跡調査先の電話番号を伝えていただきます。
④メール送信が困難な場合は、電話番号の提供をもって情報提供の同意と判断させていただきます。
*症例使用の可否については、いつでも拒否の表明をすることができます。

本調査にご協力いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

書籍のご案内

一般向け「長びく その痛み あなたの力で治せます」
国内で約4千万人が直面しているといわれる『慢性痛』。当法人に設けられた「痛み電話相談窓口」に全国から寄せられた慢性痛患者さんの生の声と、相談員とのやりとりを掲載。患者さんやそのご家族がどんなことで苦しみ悩んでいるのかを知るとともに、原因不明の痛みにどう向き合っていけばいいのか、そのヒントが得られる一冊。
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長びく その痛み あなたの力で治せます

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ご注文は書店、アマゾンまたは中外医学者HPにて販売しております。
長びく その痛み あなたの力で治せます

医療者向け「痛みの集学的診療:痛みの教育コアカリキュラム」
慢性痛の診療を行うにあたり,医師や看護師だけでなく、多職種が集まる“集学的な診療チーム”により「生物心理社会モデル」として合理的に考えようとする取り組みが本邦でも始まり、全国にできつつある。研究班による研究も進む中、医療従事者の“教育”に必要な教科書として本書が企画された。
<本体価格¥5,400(税抜)>
ご注文は書店、アマゾンまたは真興交易(株)HPにて販売しております。
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